Ubuntu 20.04 LTSの提供を開始、セキュリティとパフォーマンスに重点

by Canonical on 23 April 2020

Ubuntuの提供元であるCanonical(本社:英国・ロンドン、CEO:Mark Shuttleworth)は本日、セキュリティとパフォーマンスに重点を置いたUbuntu 20.04 LTSの一般提供を開始しました。

Canonicalの最高経営責任者(CEO)であるMark Shuttleworthは、次のように述べています。「オープンソースを世界的に促進することが当社の使命です。Ubuntu 20.04 LTSは企業や起業家向けの最先端のオープンソースプラットフォームです。何千人ものコントリビューターと世界最大級のテクノロジー企業の力を結集し、セキュアなクラウド/エッジコンピューティングに対応するスタンダードリファレンスプラットフォームとしてUbuntu 20.04 LTSが誕生しました。」 

Ubuntuは企業向けLinuxセキュリティに関する第三者によるランキングでトップに立ちます。Ubuntu 20.04 LTSは、Kernel Self-Protectionの適用、制御フローの完全性確保に加え、スタッククラッシュ保護機能によって将来を見越した計画的な企業セキュリティに対応します。

Ubuntu 20.04 LTSは、セキュアブート機能により、APT(高度標的型)攻撃グループが頻繁に使用する低レベルの攻撃やルートキットを防ぎます。また、ローカルのKubernetesパッケージ(MicroK8s)など、デスクトップやサーバー上に露出した主要アプリケーションのSnapの厳格な制限により、攻撃の拡散防止や「爆発半径」の縮小を行います。ソーシャルエンジニアリング攻撃を緩和するため、Ubuntu 20.04 LTSは汎用的な多要素認証とパスワードレス認証を可能にするFIDO(Fast IDentity Online)を採用しています。

Canonicalは、プラットフォームパートナーと協力し、最先端のハードウェア機能を駆使してオペレーティングシステムの根本的なセキュリティ確保に努めています。AMDデータセンターアライアンスディレクターであるRobert Gomer氏は、次のように述べています。「Ubuntu 20.04 LTSは、最新のセキュリティと拡張性によってさらにレベルアップしています。高速メモリ暗号化機能を備えたAMD Secure Encrypted Virtualizationのネイティブサポートによって使用中データを保護し、高性能拡張によって256スレッド以上のAMD EPYCプロセッサにも対応します。」

WireGuard®は、最新の暗号化デフォルト機能を持つ新しいシンプルなVPNです。WireGuardは、Ubuntu 20.04 LTSに含まれるほか、Ubuntu 18.04 LTSへのバックポートによって企業への幅広い導入をサポートします。WireGuardを開発したJason A. Donenfeld氏は、次のように述べています。「WireGuardをUbuntuの最近の全バージョンにデフォルトで組み込むことで、ついにユーザーはUbuntu上で即座にセキュアトンネルを使えるようになるのです。」

Ubuntuは、依然としてほとんどのパブリッククラウドのワークロードで使われているOSです。Canonicalはこのほど、パブリッククラウド向けのUbuntu Proを発表しました。これは、Ubuntuのセキュリティメンテナンスを拡大し、10年間、Ubuntuのすべてのパッケージに適用されます。さらにUbuntu ProはFIPSとCommon Criteria EALを含んでおり、FedRAMP、PCI、HIPAA、ISOのコンプライアンス条件を満たします。Google Cloudの主任プロダクトマネージャーであるNelly Porter氏は、次のように述べています。「Canonicalのチームと連携して今後のセキュリティ問題を解決する新しい方法を考えてきた当社にとって、Ubuntu 20.04 LTSの提供開始は大変喜ばしいことです。Google CloudではShielded VMハードニングがUbuntu 16.04 LTS、18.04 LTS、そして今回の20.04 LTS上でデフォルトで、かつ追加費用なしで有効化されています。」

MicrosoftのDE(Distinguished Engineer)であるJohn Gossman氏は、次のように述べています。「Canonicalと連携し、WSL上での開発からAzureでの全社的な本稼働の展開まで、ツールチェーン全体に革新的なUbuntu 20.04 LTSを提供できることをうれしく思います。今回のリリースで、当社はワークステーション環境の管理を容易にするとともに、幅広いコンピューティング環境でUbuntu Pro for Azureの長期的安定性とセキュリティをお届けします。」

Windows 10の新しいLinux v2用Windowsサブシステムは、WindowsデスクトップとサーバーにおけるUbuntuの緊密かつ直接的な統合を可能にし、クロスプラットフォーム開発にもWindows/Linuxが混在する高度な生産環境にも対応します。

UbuntuはLinuxワークステーションで最も人気の高いプラットフォームであり、CanonicalはDell、HP、Lenovoの複数のワークステーションを認定し、企業向け開発用デスクトップをサポートしています。多様なベンダーの機械学習/AIツールに加え、Slack、Skype、Plex、Spotify、またJetBrainsの全ポートフォリオ、Visual Studio Codeなど、Snapcraft Linuxアプリストアの6,000種類のアプリケーションが即座にUbuntu 20.04 LTSに対応します。

Ubuntuは、パブリッククラウドやプライベートインフラでKubernetesホストとして幅広く導入されており、メインフレーム環境でのコンテナ化された処理にも広く利用されています。

IBMのOffering Management、IBM ZおよびLinuxONE担当バイスプレジデントであるMichael Desens氏は、次のように述べています。「CanonicalとIBMは引き続き緊密に協力し、IBM LinuxONEとIBM Z上でUbuntuを使用したクラウドソリューションを提供します。IBM LinuxONEとIBM Z上で実行されるUbuntu 20.04 LTSが本日発表されたことは、コンテナとKubernetesに対する当社の継続的なサポートを示すものであり、お客様の重要なワークロードを支えるためのハイブリッドクラウドへの移行を促進します。Ubuntu 20.04 LTSは、IBM ZとLinuxONEに対応する信頼性の高い実行環境としてIBM Secure Execution for Linuxもサポートしています。IBM Secure Execution for Linuxは、エンタープライズグレードの機密性と機密データ保護サポート機能の両方を備えています。また、完全な隔離環境で多数のワークロードを大規模に実行でき、ハイブリッドクラウド環境で内部と外部の両方の脅威を防ぎます。」

Armのインフラストラクチャ事業部門、ソフトウェアエコシステム開発担当シニアディレクターであるKevin Ryan氏は、次のように述べています。「1兆台のコネクテッドデバイスが生成する膨大なデータの処理において、パフォーマンスとセキュリティが非常に重要になりつつあります。特にエッジでの処理量が増えればなおさらです。Ubuntu 20.04 LTSとArm Neoverseベースのプラットフォームが組み合わさることで、高性能でセキュアなアプリケーション開発を支える強固な基盤を提供し、次世代のコンピューティングを支えます。」

高速処理は新しいデータセンターに必須の要素です。これには、NVIDIAのGPUプラットフォームに加え、データサイエンスと機械学習における革新を支えるSmartNICやFPGAが貢献しています。Ubuntu 20.04 LTSはNVIDIA CUDAソフトウェアスタックにより、データセンターでもエッジでもAIの導入を簡素化します。

NVIDIAのエンタープライズコンピューティング担当責任者であるManuvir Das氏は、次のように述べています。「企業はNVIDIA AIとデータサイエンスソリューションでビジネスを変革しようとしています。開発者やデータサイエンス担当者はUbuntuプラットフォームで最も重要な作業を行っています。当社とCanonicalの協力により各業界の革新的企業は、自社データからAIによる有用な情報をより短時間で引き出すことが可能になるでしょう。」

主要なオープンインフラのプラットフォームであるUbuntuは、近年は世界的なハードウェアベンダーやシステムインテグレーターとの連携を通して、企業のデータセンターに幅広く普及しています。

Intelのバイスプレジデント兼システムソフトウェアエンジニアリング担当ジェネラルマネージャーであるMark Skarpness氏は、次のように述べています。「Intelは今後発表となるIntelプラットフォームをCanonical®のUbuntu™ 20.04 LTS上で稼働させるために、Canonicalと協力することをうれしく思います。開発環境からクラウド環境までさまざまなアーキテクチャで画期的な最適化とパフォーマンス向上を実現することが両社共通の目標です。」

Dell EMC Server and Infrastructure Systems、製品管理およびマーケティング担当シニアバイスプレジデントであるRavi Pendekanti氏は、次のように述べています。「企業がそれぞれのマルチクラウド戦略を構築している現在、お客様は業務の効率化と柔軟性およびコスト削減によってビジネスを変革するためのシンプルなIT体験を求めています。今回のUbuntu認定は、当社の最新のデータセンター向けDell EMC PowerEdgeサーバーを対象とし、Openstack、Kubernetes、AI/MLフレームワーク(Kubeflowなど)に対応するソリューションが、このデジタル変革時代において一貫したインフラ、サポート、サービスを提供します。」

Supermicroのシニアバイスプレジデント兼最高製品責任者(CPO)であるRaju Penumatcha氏は、次のように述べています。「企業向けのコンピューティング、ストレージ、ネットワーキングソリューション、そして環境に優しいコンピューティング技術の世界的リーダーである当社は、Canonicalチームとの長期的なパートナーシップにより、両社のお客様に有益な技術革新を届けてきました。当社は、Ubuntu 20.04 LTSのリリースが、ハードウェアサポートの改善、再起動不要のカーネル更新、ブート時間の短縮のほか、Kubeflowを使用した機械学習ソリューションの性能向上を目的とした多くの最適化機能により、お客様にさらに大きな価値を提供できることをうれしく思います。」

Ubuntu 20.04 LTSは、以下のリンク、または主要パブリッククラウドで本日よりダウンロードしていただけます。jp.ubuntu.com/download

※本プレスリリースは、2020年4月23日 に英国・ロンドンで配信のプレスリリース抄訳です。

<以上>

Canonicalについて

Canonicalは「Ubuntu」を提供する企業です。Ubuntuは、ほとんどのパブリッククラウドのワークロードに使われているOSであり、スマートゲートウェイ、自動運転車、高度なロボットなどの最先端分野でも使用されています。Canonicalは、Ubuntuの商用ユーザ向けにエンタープライズセキュリティ、サポート、サービスを提供しています。Canonicalは2004年に設立された非公開企業です。

詳細は以下のウェブサイトからご覧いただけます。

https://jp.ubuntu.com/ https://www.ubuntu.com/

ニュースレターのサインアップ

Ubuntuニュースレターの配信登録

お客様が購読登録を行われる場合、以下の条件に同意されたことになります。Canonicalのプライバシーに関するお知らせ個人情報保護ポリシー

関連記事

Dell Technologies Forum TokyoにCanonicalが出展

Dell Technologies Forum TokyoにCanonicalが出展!10月3日にお会いしましょう Canonicalは、10月3日に東京で開催されるDell Technologies Forumに出展することを大変楽しみにしています。この業界をリードするイベントでは、デジタルの未来を形作る最新の技術について、業界リーダーやテクノロジー愛好者が一堂に会します。 【開催概要】■ 日時: 2024年10月3日(木) 10:00 – 18:40■ 会場: グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール■ 事前登録サイト(英語): Dell Technologies Forum 登録ページ■ 参加費: 無料(事前登録制) 最新ソリューションを体感 Canonical […]

リアルタイムLinuxに関するCTO向けガイド

リアルタイムシステムおよびそのユースケースと仕組みを理解する 最近の予測によると、2025年には世界のデータの30%近くがリアルタイム処理を必要とします。制御システム、産業用エッジサーバー、PLC、ロボット、ドローンなどを駆動する産業用PCとリアルタイム機能への需要は高まる一方です。ワークロードによって必要なリアルタイムパフォーマンスやサイクルタイムは異なりますが、リアルタイムコンピューティングは今後もますます普及するというのがアナリストの見解です。 また、ソフトウェアがハードウェアデバイスや周辺機器を綿密にサポートすることで、Linuxカーネルを介したリアルタイムコンピューティングが活躍しています。カーネルにリアルタイム機能を持たせる多くのアプローチの中で、PREEMP […]

Everything LTS – Canonicalの12年間サポートのDistroless Dockerイメージ

「Everything LTS」 – Canonicalは、お客様の仕様に合わせたdistroless Dockerイメージを構築します。このイメージには、Ubuntuパッケージに含まれていないアップストリームコンポーネントが含まれ、重要なCVE(Common Vulnerabilities and Exposures、一般的な脆弱性と露出)は24時間以内に修正され、RHEL、Ubuntu、VMware、またはパブリッククラウドのK8sで12年以上にわたりサポートされます。 Canonicalは本日、自社のLTSサービスをUbuntuの「deb」パッケージ以外にも拡大し、新しいdistroless Docketイメージの設計/構築サービスを開始しました。このサービスには、 […]