Windows 7からUbuntuにアップグレードする理由

by cmoullec on 4 May 2020

Windows 7は、製品寿命の終わりを迎えました。今後、セキュリティ更新は行われず、Microsoftの技術サポートも停止します。サポートが終了したOSを実行することは、重大な潜在的リスクとなる可能性があり、あなたがインターネットにさらされた環境でWindowsを使用している750,000以上のユーザーの1人であるならば、すでに問題を抱えているかもしれません。幸い、この問題には簡単な解決策が2つあります。1つは、別のオペレーティングシステムを実行する新しいコンピューターを購入すること。もう1つは、 好きなコンピューターにLinuxをインストールすることです。このブログではLinuxについて、具体的にはUbuntuについて解説します。

Ubuntuとは

UbuntuはCanonicalがサポートするオープンソースのオペレーティングシステムです。ユーザー数は数百万にのぼり、無料で5年間のサポートが受けられます。PC、クラウド、およびIoTデバイスで動作し、何千ものアプリケーションをホストすることができます。また、グローバルなユーザーコミュニティに支えられているプラットフォームであり、デフォルトでセキュリティが確保されるよう設計されています。

アプリ

WindowsからUbuntuにアップグレードすることで、すぐにインストール可能な何千ものアプリにアクセスできるようになります。これらのアプリの多くは無料のオープンソースです。写真の編集やメディアのストリーミング、ニュースの購読や友人へのメッセージ送信など、あらゆる作業に使用できます。しかし特に重要な点は、これまで使用してきたソフトウェアも使い続けられるということです。

Google Chrome

Windowsから移行するユーザーの多くはGoogle Chromeに慣れているでしょう。UbuntuはデフォルトでFirefoxを実行しますが、Chromeへの変更も簡単です。昨年末の時点で、ウェブブラウザとしてGoogle Chromeの利用者はユーザー全体の約56.1%でしたが、これらのユーザーは皆、問題なくUbuntuに移行できます。加えて、Windows 7のChromeのブックマークを、まとめてUbuntuに移行することもできます。

ブックマークの移行はまず、ブラウザの右上にある三点リーダーをクリックします。  カーソルを [ブックマーク] に移動し、[ブックマーク マネージャ] を開きます。Ctrl + Shift + Oキーでも同じ操作ができます。次に、移行するブックマークを選択し、ページの右上にある三点リーダーを選択して、[ブックマークをエクスポート] をクリックします。Google ChromeによってブックマークがHTMLファイルとして保存されるので、ファイルをオンラインに保存します。Ubuntuのインストール後に、このファイルからブックマークをChromeにインポートできます。

Spotify

Windows 7から移行する場合には、音楽ファイルもそのまま移行したいと思います。Spotifyは2億4,800万人のユーザーを持つ世界で最も人気のある音楽ストリーミングのサブスクリプションサービスです。UbuntuでもSpotifyを使うことができます。

WordPress

WordPressには、Ubuntu専用のデスクトップクライアントがあります。このアプリを使ってWordPressサイトを管理し、ブラウザのタブに切り替えることなくサイトのデザインを書いたり、編集したりできます。

Blender

Blenderは無料のオープンソース3D制作アプリケーションで、3Dプリント模型、アニメーション動画、ビデオゲームなどの作成に使用できます。ゲームエンジンが内蔵されており、ビデオゲームの開発やテストに使用できます。

Skype

Skypeは、最も広く使われているクロスプラットフォームなビデオ通話アプリです。音声通話、ビデオ通話、デスクトップ画面の共有などの機能をお使いのコンピューターに提供します。Ubuntuでも引き続きSkype機能を堪能することができます。

これらのアプリを使うことで、PCユーザーの大半は今までと同じように作業することができます。これまで通りにウェブを検索し、音楽を聴き、映画を見て、友人と会話し、新しいアプリをダウンロードできます。それに加えて、コミュニティによって設計・構築された何千もの新しいアプリを利用できます。

新しいアプリの入手方法

一般ユーザーの間には、依然としてLinuxは複雑であるという先入観が存在しています。しかし、すでに身近に利用されているテクノロジーには、実は何年も前からLinuxをルーツにしているものがあります。例えば、ChromebookはLinuxを直接実行していますし、Androidのオペレーティングシステムも直接Linuxをベースとしています。さらに、Ubuntuへのソフトウェアのインストールは、実はWindowsにインストールするより簡単なのです。UbuntuではソフトウェアセンターやSnap Storeを使ってアプリをインストールします。どちらも使い慣れたAndroidやiOSのアプリストアと似ていますが、ソフトウェアセンターやSnap Storeの方が以前から存在するもので、[インストール] をクリックするだけで簡単にインストールできます。Windowsのように面倒なクリック操作を行ってコンピューターに変更を加える許可を与える必要はありません。

ただし断っておくと、まったく問題がないわけではありません。現時点での最も大きな相違点は、ゲーム操作とMicrosoft Officeの2つです。Ubuntuでのゲーミングは現在進行形のため、操作方法をすでに知らない場合は扱いが難しい可能性があります。たとえば、LinuxにSteamをインストールするのはごく簡単で、Dota 2、Counter-Strike: Global Offensive、Hitman、Dotaなどの人気ゲームをプレイすることができますが、他のゲームの多くは今のところネイティブでは実行できません。こうしたゲームをプレイするための作業は一般ユーザーにとっては困難な可能性があります。

また、UbuntuではMicrosoft Officeを利用できません。Microsoft Officeはドキュメントやプレゼンテーションの作成では最も一般的なオフィススイートですが、唯一の選択肢というわけではありません。他の製品も試してみる価値はあり、Officeよりも優れている可能性があります。LinuxではMicrosoft Officeの代わりにLibreOfficeを使用できます。LibreOfficeはMicrosoft Officeと同等の機能を目指して開発された一連のアプリケーションで、Ubuntuの全バージョンにプリインストールされています。

ウェブアプリ

LibreOffice以外にも優れたオンラインの選択肢があります。Microsoft Officeと同じ機能を持ち、Ubuntuで利用でき、かつMS Officeに劣らないアプリケーションです。たとえば、Googleのオフィススイート・アプリケーションは、Microsoft Officeと同じ機能を持ち、オンラインで無償提供されています。基本的なツールの使い方は同じで、ドキュメントへアクセスしやすく、ファイルをオンラインでホストするだけで共有と保存がより簡単になります。すべてのオンラインウェブアプリはUbuntuで使うことができます。

コミュニティ

Ubuntuはオープンソースであり、ユーザーによってユーザーのために構築されています。こうした開発をバックアップするCanonicalは、大規模な企業が自社でUbuntuを使用できるよう、追加のサービスやサポートを提供しています。世界中の誰もが無償で使うことができ、コミュニティに参加できるため、誰でも新機能を提案したり、要求することができます。Microsoftでさえも、発言権を得るためにUbuntuコミュニティに参加しています。オープンソースのコミュニティは、その仕事に対して非常に情熱的に取り組むことが知られています。また、共同作業であるため、誰にでもオープンです。Ubuntuを使うことを通して、グローバルなコミュニティに参加し、より大きな目標の実現のために貢献することができます。 

しかし、コミュニティを素晴らしいものにしているのは、人です。Ubuntuコミュニティはソフトウェアやコンピューターのエンジニアだけで構成されているわけではありません。アーティスト、写真家、起業家、投資家などもコミュニティの一員です。これらの人々は、自分の意見の投稿やフィードバックを通して、最高のアプリや機能の実現に貢献しています。

セキュリティ

Windows 7からの切り替えが必要な理由に立ち返りましょう。Ubuntuはセキュリティをもたらします。  コードのすべての行はCanonicalのメンバー、あるいはコミュニティのメンバーによって徹底的にレビュー、検証されます。期待した通りにコードが動作し、脆弱性がチェックされるまではそのコードは実装されません。Canonicalでは、フルタイムのスタッフがバグや脆弱性を積極的に探しています。

Ubuntuは、クラウドや企業内のオペレーティングシステムとしては最も多く選ばれています。個人のコンピューターにダウンロードできるシステムは、AmazonやGoogleなどの企業がビルトインセキュリティとして使用しているのと同じ堅牢なセキュリティ原則に基づいています。また、同じセキュリティ上の重要な理由から、ロボットやホームオートメーションなどの小型デバイスでも広く使用されています。

Ubuntuのセキュリティ機能のドキュメントは、オンラインで入手できます。たとえば、AppArmourと呼ばれる機能では、アプリケーションを隔離することで攻撃可能な領域を制限し、特定のユーザーへのアクセスをより厳格に制限します。また、LivePatchという機能では、コンピューターを再起動せずにセキュリティアップデートをインストールすることができます。システムでバグが発見された場合、アップデートが自動的に開始されて修正が行われるため、ユーザーは何も操作する必要がありません。コンピューターを常時安全に保つために、これらの動作はバックグラウンドで行われます。 

Ubuntuの入手方法

Ubuntuを使い始めるには、いくつかの方法があります。Windows 7からUbuntuにアップグレードする方法については、段階を追って詳しく解説する連載を開始します。主な方法は3つあります。

  1. すでに使用しているコンピューターにUbuntuをインストールできます。これまでにこの方法を行ったことがなければ難しいと感じるかもしれませんが、Windows 7からの移行に特化したブログの連載や、より一般的なチュートリアルでUbuntuの入手方法を説明しています。
  2. CanonicalのパートナーからUbuntuがプリインストールされた新しいコンピューターを購入できます。Dellのコンピューターに関するこちらのブログを手引きとしてご覧ください。プリインストールのコンピューターを購入することがUbuntuを入手する方法としては最も速く簡単ですが、コストが高くなる可能性があります。
  3. 仮想環境にUbuntuをインストールすることもできます。Linuxを初めて使う場合、この方法は特に複雑で直感的でないと感じるかもしれんませが、実は一番簡単な方法です。この方法ではLinux、Windows、またはMacOS上の仮想環境にUbuntuをインストールしたうえで、アプリケーション内でデスクトップからUbuntuにアクセスします。簡単な操作手順はUbuntuコミュニティのWikiページで見ることができます。 

まとめ

いまだにWindows 7を使っている親戚や小規模ビジネスオーナー、技術的な知識が十分でない知り合いが身近にいるのであれば、今後Windows 7が彼らのシステムにとってのセキュリティ脅威となる恐れがあることを教えてあげてください。対策としてはいくつかの選択肢がありますが、その1つがUbuntuです。LinuxのオペレーティングシステムであるUbuntuには、何千もの新しいアプリとWindowsで使用できる機能のほとんどが備わっており、しかも無料で使うことができます。Ubuntuは、世界中のユーザーが参加するコミュニティとCanonicalによってしっかりとサポートされています。Canonicalは、Ubuntuのセキュリティを強固にし、業界最高レベルの信頼性で動作するように支援を続けています。

ニュースレターのサインアップ

Ubuntuニュースレターの配信登録

お客様が購読登録を行われる場合、以下の条件に同意されたことになります。Canonicalのプライバシーに関するお知らせ個人情報保護ポリシー

関連記事

Dell Technologies Forum TokyoにCanonicalが出展

Dell Technologies Forum TokyoにCanonicalが出展!10月3日にお会いしましょう Canonicalは、10月3日に東京で開催されるDell Technologies Forumに出展することを大変楽しみにしています。この業界をリードするイベントでは、デジタルの未来を形作る最新の技術について、業界リーダーやテクノロジー愛好者が一堂に会します。 【開催概要】■ 日時: 2024年10月3日(木) 10:00 – 18:40■ 会場: グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール■ 事前登録サイト(英語): Dell Technologies Forum 登録ページ■ 参加費: 無料(事前登録制) 最新ソリューションを体感 Canonical […]

リアルタイムLinuxに関するCTO向けガイド

リアルタイムシステムおよびそのユースケースと仕組みを理解する 最近の予測によると、2025年には世界のデータの30%近くがリアルタイム処理を必要とします。制御システム、産業用エッジサーバー、PLC、ロボット、ドローンなどを駆動する産業用PCとリアルタイム機能への需要は高まる一方です。ワークロードによって必要なリアルタイムパフォーマンスやサイクルタイムは異なりますが、リアルタイムコンピューティングは今後もますます普及するというのがアナリストの見解です。 また、ソフトウェアがハードウェアデバイスや周辺機器を綿密にサポートすることで、Linuxカーネルを介したリアルタイムコンピューティングが活躍しています。カーネルにリアルタイム機能を持たせる多くのアプローチの中で、PREEMP […]

Everything LTS – Canonicalの12年間サポートのDistroless Dockerイメージ

「Everything LTS」 – Canonicalは、お客様の仕様に合わせたdistroless Dockerイメージを構築します。このイメージには、Ubuntuパッケージに含まれていないアップストリームコンポーネントが含まれ、重要なCVE(Common Vulnerabilities and Exposures、一般的な脆弱性と露出)は24時間以内に修正され、RHEL、Ubuntu、VMware、またはパブリッククラウドのK8sで12年以上にわたりサポートされます。 Canonicalは本日、自社のLTSサービスをUbuntuの「deb」パッケージ以外にも拡大し、新しいdistroless Docketイメージの設計/構築サービスを開始しました。このサービスには、 […]