Canonicalとルネサスが提携し、企業向けAIのイノベーションを加速
by Canonical on 18 April 2025
Ubuntuの発行元であるCanonicalは、半導体ソリューションの世界的リーダーであるルネサス エレクトロニクス株式会社が、エッジコンピューティングとAIアプリケーションの需要増大に対応する最先端のソリューションを提供するため、Canonicalのシリコンパートナープログラムに参加したと発表しました。AIを利用したソリューションが業界に普及するにつれ、効率、拡張性、セキュリティに優れたエッジコンピューティングプラットフォームが強く求められています。このパートナーシップは、組み込み処理におけるルネサスの専門知識とCanonicalの包括的なIoT(モノのインターネット)ソフトウェアスタックを統合するものです。
拡張性の高い実運用グレードのソリューション
Canonicalとルネサスのコラボレーションの目的は、拡張性の高い実運用グレードのソリューションによって、OEM(相手先ブランド製造企業)やODM(相手先ブランド設計製造)の市場投入期間(TTM)を短縮することです。ルネサスの多彩な組み込みハードウェアプラットフォームにより、OEMやODMは自社の要件に合わせて最も効率的なソリューションを選択できます。
このパートナーシップでは、ルネサスのRZ MPUとシームレスに統合するよう最適化したUbuntuイメージをCanonicalが提供します。開発者は、カスタマイズされたソリューションによってCanonicalの豊富なツールとオープンソースアプリケーションのエコシステムに効率的にアクセスし、ソフトウェアの開発と導入にかかる時間を短縮できます。さらにパートナーシップには、ルネサスの顧客に対するUbuntu Proの共同マーケティングと共同販売が含まれます。Ubuntu Proは、オープンソースのセキュリティ、サポート、コンプライアンスに対応するCanonicalのサブスクリプションサービスであり、各社の開発ニーズに対応する付加価値と長期サポートを提供します。Canonicalのシリコンアライアンス部門担当副社長であるCindy Goldbergは次のように述べています。「Canonicalはルネサスとの提携によってエッジの可能性を拡大したいと考えています。両社は力を合わせ、コンプライアンスと将来に対応したIoT/エッジデバイスを短期間で市場化ためのツールを提供します。」
AI機能の強化
エッジコンピューティングによってAI処理のローカライズの必要性が高まる中、Canonicalとルネサスの提携はAIアプリケーションの開発と導入を簡素化します。ルネサスの強力なハードウェアとCanonicalのUbuntuオペレーティングシステムを活用することで、開発者はソースの近くでリアルタイムのデータ分析を行い、迅速な意思決定と遅延の短縮に役立てることができます。
Ubuntuのオープンソースエコシステムは、エッジでAIアプリケーションの構築や拡張を行うための包括的なAIフレームワークとツールのスイートを開発者に提供します。さらにルネサスのRZファミリプロセッサは、高性能の推論、リアルタイム処理、AIアクセラレータの手厚いサポートなど、高度なAI機能を提供します。ルネサスのエンベデッドプロセッシングビジネスアクセラレーション部門担当副社長であるMohammed Dogar氏は次のように述べています。「ルネサスのRZファミリは、開発者がエッジでAIの可能性を最大限に引き出せるよう、幅広いアプリケーションに対応する効率性と拡張性を兼ね備えています。当社のハードウェアの専門知識とCanonicalのソフトウェア機能を組み合わせれば、AIアプリケーションのニーズに対応する最先端のソリューションを提供できます。」
セキュリティを重視した設計
Canonicalとルネサスのパートナーシップでは、堅牢なセキュリティ機能を重視しています。ルネサスのハードウェアプラットフォームは堅牢なハードウェアベースのセキュリティ対策を組み込み、エッジアプリケーションの完全性を確保します。これに加えてCanonicalも、snapベースのパッケージアプリケーションの完全な隔離、継続的な更新、プロアクティブな脆弱性修正に対応するなど、Ubuntuの強固なセキュリティ機能を提供します。コンテナ化されたオペレーティングシステムであるUbuntu Coreは、IoTやエッジの導入に合わせて高度なセキュリティを提供することによってこれらの原理を実証します。CanonicalのセールスディレクターであるTabish Khanは次のように付け加えています。「イノベーションとコンプライアンスを重視した両社のソリューションにより、企業は欧州サイバーレジリエンス法(EU CRA)などのグローバルな規制要件に沿ったAIやエッジのソリューションを安心して導入できます。」
Canonicalはルネサスと協力し、包括的なソリューションによってIoT業界に新しい基準の確立を目指します。拡張性の高い実運用ソリューションから、AI機能の強化や堅牢なセキュリティまで、両社の力を結集したソリューションにより、企業は産業オートメーション、ロボティクス、スマートシティ、医療などの重要な分野で新しい可能性を追求できます。
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