Kria KR260 – Ubuntuを使用した拡張可能なロボティクスプラットフォーム

by jiashiuan on 24 May 2022

原典:https://ubuntu.com/blog/kria-kr260-a-scalable-robotics-platform-powered-with-ubuntu

このたびのAMD Kria™ KR260ロボティクススターターキットの発表により、ロボット開発者の未来が大きく開けました。ロボット開発は決して簡単ではありません。AMDは、組み込み設計の参入障壁を引き下げることにより、すべての業界へのロボット普及を目指しています。適応型SOM(システムオンモジュール)から成るKriaポートフォリオの最新製品は、この取り組みを実証しています。

魅力的な価格で速やかにロボットを導入

Kria KR260の最大の利点は、既存のKria K260適応型SOMを利用して現場にシームレスに導入できることです。チップダウン設計より設計サイクルを短縮することにより、Kria SOMポートフォリオとUbuntuの組み合わせは、導入までの時間を最大で9カ月短縮します。すなわちロボット開発企業は、FPGAの知識なしで短時間で簡単に作業を開始できます。

開発者にとってもう1つの重要な利点は低コストです。Kria KR260ロボティクススターターキットの価格は349ドル。最新のプラットフォームを手頃な価格で購入できます。

UbuntuとKria KR260

本番環境へのシームレスな導入に関して、KR260の開発者はLinuxに関する知識も不要です。KR260は、購入時の状態で最新のUbuntu組み込みオペレーティングシステムを完全にサポートし、CanonicalのUbuntu 22.04の最新の長期サポート(LTS)バージョンと互換性を持ちます。開発者はソフトウェアやハードウェアの動作不良に悩むことがありません。またCanonicalの最新のセキュリティ機能と更新は、ますます進化する攻撃者から現場のシステムを守ります。このため認証、検証、サポートを受けた標準オペレーティングシステム(クラウドからIoTまで動作)の上で動作する実用的なアプリケーションに力を注ぐことができます。

KR260開発者は、オープンソースのロボティクスプロジェクトの高度なエコシステムも利用できます。これにはROS 2 Humble Hawksbillの今後のリリースを含め、ネイティブのROS 2サポートが含まれます。開発者は、継続的な統合ジョブ、定期実行ジョブ、パッケージングジョブ、パフォーマンステストなど、ROS 2の全テストスイートをKR260に対しても安心して利用できます。

Kriaロボティクススタック

開発者は、ロボットライブラリとユーティリティを総合的に組み合わせたKriaロボティクススタック(KRS)を使用し、Kria SOMをターゲットとした産業グレードのロボティクスソリューションの開発と商業化をハードウェアで加速することも可能です。この結果、Kria SOMの低レイテンシで適応型のコンピューティングアーキテクチャは、同クラスのGPUソリューションに比べ、8倍以上のワットあたり性能と最大3.5倍の低レイテンシを提供します。

認定ボードで市場化をスピードアップ

Kria KR260のUbuntu認定は、セキュリティと信頼性の高い長期サポートを可能にします。デリバティブボードをお使いの企業には、Canonicalのイネーブルメントサービス(割引価格)でも同レベルのサポートをご利用いただけます。

Kria KR260を使用する企業には、商用IoTやロボット製品の開発に対応する総合的なサービスパッケージであるSMART STARTなど、Canonicalのプロフェッショナルサービスも提供されています。SMART STARTでは、生産工程、コンテナ化、インフラ開発、リスク管理など、エッジデバイスの開発において最も時間のかかる作業についてCanonicalの専門家がアドバイスします。Canonicalのサービスでは、KR260を利用する企業がCanonicalのUbuntu向け企業サポートも利用できます。

詳細は、Canonicalのロボットに関するプロフェッショナルサービスをご覧ください。

まとめ

新しいKria KR260は、拡張可能ですぐに使えるロボット向け開発プラットフォームであり、開発企業が自社でロボット用アプリケーションを開発する時間を節約します。必要なインターフェイスや機能がすべて揃っているため、1時間以内に開発を開始できます。皆様の新しい製品に期待しています!

Kria SOM対応Ubuntuをダウンロード

サポートについてはお問い合わせください。

ニュースレターのサインアップ

Ubuntuニュースレターの配信登録

お客様が購読登録を行われる場合、以下の条件に同意されたことになります。Canonicalのプライバシーに関するお知らせ個人情報保護ポリシー

関連記事

常時接続フリートにおけるOTAとテレメトリの管理

私のブログ記事を過去2年間読んでくださっている方は、自動車業界がおそらく今日の最も革新的な業界であることをご存知でしょう。実際、世界でも極めて価値の高い企業が、電気自動車(EV)、自動運転(AD)、人工知能(AI)に携わっています。他の革新と同様、この革新にも一連の課題が伴います。 私は、理解や習得が最も難しいテクノロジーが、必ずしも最も複雑に見えるテクノロジーとは限らないことに気づきました。OTA(Over-The-Air)更新とフリートのテレメトリの管理は、今日の自動車業界において最も有望なテクノロジーですが、複雑に見えるテクノロジーでもあります。 OTAの隠れた力 OTA更新は、車両の価値を根本的に覆す可能性を持っています。リモートでのソフトウェアとファームウェアの […]

リアルタイムLinuxに関するCTO向けガイド

リアルタイムシステムおよびそのユースケースと仕組みを理解する 最近の予測によると、2025年には世界のデータの30%近くがリアルタイム処理を必要とします。制御システム、産業用エッジサーバー、PLC、ロボット、ドローンなどを駆動する産業用PCとリアルタイム機能への需要は高まる一方です。ワークロードによって必要なリアルタイムパフォーマンスやサイクルタイムは異なりますが、リアルタイムコンピューティングは今後もますます普及するというのがアナリストの見解です。 また、ソフトウェアがハードウェアデバイスや周辺機器を綿密にサポートすることで、Linuxカーネルを介したリアルタイムコンピューティングが活躍しています。カーネルにリアルタイム機能を持たせる多くのアプローチの中で、PREEMP […]

Canonical Jobs – Linuxエンジニア

Linuxフィールドエンジニア IoT分野における当社の主力製品、Ubuntu Coreはユニークな存在です。最高の信頼性、セキュリティ、フットプリントを実現するため、Linuxを再発明したものと言えます。当社の顧客は、自動車、市販電子機器、医療機器、産業システム、ロボティクス、ゲートウェイなど、さまざまな業界にわたりますが、厳しい品質とセキュリティの要件を満たすよう迫られているという点では共通しています。 日本市場での急速な展開に対応するため、当社はデバイス部門のフィールドエンジニアチームの拡大を検討しています。この重要なポジションは、新しいテクノロジーを迅速に習得し、多くの業界の最先端でお客様のソリューション構築を支援することが求められるため、能力ある候補者はキャリア […]